内灘砂丘

石川県の… ここはどこ?

この写真は石川県のとある場所である。どこだかわかるだろうか…


この写真は北陸の古都として有名な金沢市の隣町にある、内灘砂丘(うちなださきゅう)の風景だ。
金沢に住む人でも、内灘”海岸”は知っているけど、そこが砂丘の一部だということは知らないという人は多い。
しかしなんとこの内灘砂丘、日本で3番目に大きな砂丘なのである!

内灘砂丘では場所によって様々な砂丘ならではの風景を見ることができる。
「風紋」などはその代表だ。

金沢港の近くから北東に向かってずっと砂地が続いている。 砂浜に残っているのは車の通った跡。砂丘にある海水浴場は砂浜が駐車場になっている。
砂丘でよくみられる「風紋」。強い風によってこのような模様ができるという。内灘砂丘のいたるところで見ることができる。
砂が堆積して、崖のようになっている。
砂丘はほぼ直線状に続いている。さえぎるものがなく、取材時は常に強い風が吹いていた。
砂地のように見えるが、砂丘の中にある畑。石川名産のダイコンやサツマイモがここで栽培されている。
砂浜に生える、コウボウムギと思われる植物。春には花を咲かせる。

内灘砂丘 その場所と大きさ

内灘砂丘は青森県の猿ヶ森砂丘、鳥取県の鳥取砂丘に次いで日本で3番目に大きい砂丘だ。
それも、金沢から車で20分で行けるとても身近な場所にあるのだ。

内灘砂丘は、金沢市の北にある内灘町を中心に広がっている。
南北延長9.651km、幅1kmの海岸沿いにできた海岸砂丘だ。
日本海からの強い風によって砂が堆積し、砂丘を形成している。
もっとも高いところでは海抜61mあるという。

ここで一つの疑問がある。内灘砂丘は日本で3番目の大きさを誇るのにも関わらず、なぜ地元の人であっても知らない人がいるのだろうか?

内灘砂丘の劇的変化

実は内灘砂丘、この数十年で大きく変化しているのだ。
その様子を写真で見てみよう。

これは昭和24年の内灘町の写真。
写真上の白い部分が内灘砂丘だ。砂丘の内陸側に河北潟(かほくがた)が広がっている。
そしてこれが現在の内灘町。砂丘が海岸近くまで宅地化されている!
つまり、内灘町に訪れた人は知らないうちに内灘砂丘に登っていたのだ!
地元の人でも砂丘の存在に気づかないのは無理はない。
砂丘を拓いて造られた河北潟の放水路に架かる内灘大橋。右手に見えるのが金沢医科大学病院だ。ここが砂丘の上とは思えない。
内灘大橋からの風景。この場所がおよそ海抜30mくらい。内灘砂丘の最も高いところは海抜約60mなので、これよりもずっと高いところまで砂丘なのだ。

内灘砂丘約10kmを歩いて縦断取材!

内灘砂丘は広く、写真や文章では伝えきれない。さらに内灘砂丘を知ってもらうためにどうすべきか…?
我ら金沢ライフマップ課はそれほど迷うこともなく「歩いて内灘砂丘を縦断するしかない」という結論に至った。
実際に歩き、途中テントで一泊して、体感したからこそお伝えできる内灘砂丘をご覧いただきたい!

実は縦断は1回では済まなかった。最初の撮影は2月中旬の冬のまっただなか。全国的に大雪が降った荒れ模様の天気のなか大変な思いをして行ったのだが、撮れた映像があまりにも使えないものばかりだったので、プロデューサーからNGをもらい、再度撮影に出かけているのだ(都合1.8回は縦断している)。そのため映像の繋がりがおかしいところはご容赦いただきたい。

スタート地点の金沢市粟崎浜町。 この日海岸は雪に覆われていた。
風雨の中、荒波が押し寄せる海岸をひたすら歩く取材班。
俳句を詠む高は車。冬なので砂丘の植物はまばら。
海岸でテントを張って夜営。 食事は金沢カレーのレトルトとソーセージ。ソーセージの分配をめぐって高は車とかっくんの間で一悶着あり、険悪なムードに。
強い風でテントが飛ばされそうになりながら、何とか朝を迎える。
内灘大橋が見える。あの橋の3分の2くらいの高さまで砂丘なのだ。そう知って見るとすごく高い。
極限状況の中、お互いを気遣う余裕などなくなってくる。 二人の距離が徐々に離れていく。
白尾海水浴場周辺がスタートから約10kmの場所、 つまり内灘砂丘の北端になる。 この後、いよいよゴール!その時二人は…!?

魅力いっぱいの町 内灘町

内灘砂丘のある内灘町は、丘の上にあるので見晴らしが良い。金沢市にも近く、金沢駅に直通する路線があるという鉄道のあまり発達していない石川県にあってとても便利な街なのだ。ここでは内灘町の魅力あるスポットをいくつか紹介しよう。

河北潟の放水路にかかる内灘大橋。愛称の「サンセットブリッジ内灘」の名の通り、眼下に広がる日本海に沈む夕日を見ることができる。全長344m、最も高いところは95.5mという堂々たる風貌だ。夜間には美しくライトアップされているぞ(時期によって点灯期間は異なります)。
北陸鉄道浅野川線の内灘駅。 なんと1929年から営業している(元は粟ヶ崎遊園前駅という名称で、1960年に現在の場所に移転した)。 金沢まで電車一本で行ける。
内灘町にある作家・井上靖の碑。 かつて金沢に住み、詩の中で内灘砂丘を詠んでいる。
金沢医科大学病院。特定機能病院、地域がん診療連携拠点病院などさまざまな指定を受けている大学付属病院だ。
内灘海岸とサンセットブリッジ内灘の周辺は、「恋人の聖地」に選ばれている。内灘町総合公園内にある見晴らし台には「幸せへの鐘」や「恋みくじハウス」があるぞ。大切な人との想い出に!
灘海岸はマリンレジャースポットとして人気の場所だ。 毎年5月には「世界の凧の祭典」も催されるぞ。

編集後記

お約束していた2月末日の更新ができず、大変申し訳ありませんでした。
2月中旬~下旬に内灘砂丘縦断の撮影は終えたあと、何度もダメだしをもらい、ブラッシュアップを繰り返し、ようやく公開に至った次第です。

こうして編集後記を書くことができてほっとしています。
よりによって縦断取材日がこの冬でも指折りの荒れ模様だったのは、私(高は車)の日頃の行いが悪いせいだと社内ではもっぱらの噂です。
内灘砂丘は映像ではとんでもない場所のように見えますが、いつもあんな大荒れではありません。

そして金沢ライフマップ課の挑戦は続く。次は横断か、はたまた…?

<制作・文責>高は車、かっくん
<撮影協力>まゆみん、アラマキウム
<企画・統括>九条一馬
<編集指導>タイプリュータ
<写真提供>内灘町
<協力>よしぞう、秀麻呂、まゆみん

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