次回予告は…未定!?
4月某日。私、菅次郎は、ライフマップ史上もっとも大掛かりな企画となってしまった「金沢競馬場」をなんとか形にしてホッと一安心していた。そんな折、編集担当のかっくんが悲痛な声をあげる。
「次回予告どうしましょう」
ミーティングスペースに戦慄が走る。いつもなら更新日にはすでに次の担当者が動き出しているはず。それなのに今回は担当のタイプリュータがPVの制作で多忙を極めるため、テーマすら決まっていないのだ。そこヘプロデュー サーの鶴の一声。
「よし、次回予告は“未定”ということで進めてください」
それってアリだったんですか?
恐怖!白羽の矢
今回の更新は祝日をはさむので3週間の猶予があるとはいえ、いつも期限ギリギリまで奮闘することになるライフマップ。そのテーマさえも決まっていないとは、次に原稿を担当するタイプリュータが哀れでならない。その不甲斐なさを鼻で笑っていた私に、プロデューサーが気さくに声をかけてきた。
「よし、君がやってくれたまえ」
というわけで、全国7000万のタイプリュータファンの皆様、申し訳ございません。今回は私、菅次郎が文責を負うこととなりました。
テーマを選ぶんだ
ライフマップのテーマ選びは毎回難航する。やれ時期が悪いだの、やれ取材許可をとらなきゃいけないだの、やれネタがもちそうにないだの。そんな中にあり、延々保留となり続けてきたテーマがあった。
「手取フィッシュランド」――石川県能美市にある遊園地だ。能美市という場所(金沢市の隣の隣の隣)も微妙なら、ここをよく知る地元民に言わせればテーマ自体も微妙。遊園地ならそれなりにネタはあるだろうけど、本当に大丈夫なんですか、プロデューサー。
「よし、行っちゃえ」
というわけで今回の金沢ライフマップは、「手取フィッシュランド」 をご紹介します。
手取フィッシュランドってなんなんだ
田んぼの中に大観覧車
グランゼーラから、石川の大動脈・国道8号線金沢バイパスに沿って南西へ約35分(道路状況により異なります)。金沢市を出て、野々市市を越え、白山市を越え、一級河川・手取川を渡ると、田園地帯の中に突如として地上50mの大観覧車がそびえ立つ光景が現れる。石川県能美市に位置する、その名も手取フィッシュランドだ。ただの遊園地と思うなかれ、入園料・駐車料無料の遊戯娯楽施設と、北陸最大の総合ペットショップが融合した総合レジャーランドなのだ。
釣り堀から遊園地へ
遊園地らしからぬ「フィッシュランド」という名前には、もちろん経緯がある。そもそも手取フィッシュランドの開業は1967年。遊園地やテーマパークの中ではかなり長い歴史を持つ部類になる。実はもともとは釣り堀として開業しており、名を「手取釣堀センター」といった。開業当時は、全国的に空前の釣り堀ブームまっただ中。石川県内だけでも 20ヵ所以上もの釣り堀ができたという。しかしブームは必ず去っていくもの。あちこちの釣り堀が消えゆき、残ったものたちも厳しい生存競争にさらされることとなった。手取釣堀センターの生存策は、子供のための遊び場を釣り堀に併設すること。ブランコや滑り台に加え、有料の乗り物をどんどん増設していった。1980年にはジェットコースター、1981年には大観覧車を設置。ここまでくれば誰が見ても立派な遊園地だ。
無料&無料
そんな経緯もあり、手取フィッシュランドは入場料も駐車料も無料。一般的な遊園地なら入場するだけで1000~2000円ほど取られてしまうものだが、そこは入場料無料の手取フィッシュランドは、アトラクションに乗らない人なら非常にお得!
ペットショップ「手取フィッシュランド」
手取フィッシュランドにはさらにまったく別の一面がある。「手取フィッシュランド」の名は、この遊園地の名であると同時に、北陸に展開する総合ペットショップチェーンの名前でもあるのだ。その本店がレジャーランド「手取フィッシュランド」の敷地内にあり、ペットショップとしては北陸最大の規模を誇る。ライブマップのテーマ選びで手取フィッシュランドに対して強く難色を示していた地元民の革命戦士かっくんもこのペットショップには一目置いており、月に一度は来店してアクアリウムグッズを買い求めるという。こーの、隠れフィッシュランドファンめ!
さっそく行ってきました
それではさっそく手取フィッシュランドに入場してみよう(無料)
所狭しとひしめく20以上のアトラクション
まず目につくのはやはりアトラクションの数々。定番アトラクションから一風変わったアトラクションまで、その数は実に20種類以上。
ウルトラマンスタジアム ~大人も子供も大興奮!~
園内のゲームコーナー・JOYPARK の1階では、巨大な足が天井を突き破っている姿を見ることができる。見ての通りこの足の主は、円谷プロダクションが誇る巨大変身ヒーロー、ウルトラマンだ。
この建物の2階にある「ウルトラマンスタジアム」は、かつては円谷プロダクション直営の施設として営業していたが、2007年に事業再編を理由に閉館。しかし、再開を望むファンからの問い合わせや手紙が相次ぎ、手取フィッシュランドの運営会社が直接経営する形で2008年に再オープンした。メインとなるのは、ウルトラ戦士と怪獣の迫力溢れるバトルステージショー、「ウルトラパワーステージ」。土・日・祝に、1日3回公演を行う。その他にも、ウルトラマンたちと触れ合える様々な施設がある。
つりぼり ~手取フィッシュランドの原点~
開業当時は釣り堀だけだった手取フィッシュランド。ペットショップ や遊園地が加わった現在も、初心者でも安心して楽しめる釣り堀として賑わいを見せる。
北陸最大の総合ペットショップ
ペットショップ「手取フィッシュランド」本店は、特に熱帯魚・金魚・ 錦鯉の品揃えがとても充実しており、ビギナーからマニアまで満足できるものとなっている。犬猫も 常時35頭を展示。北陸最大の謳い文句に違わぬ充実の品ぞろえとなっている。
そして運命の出会い
このペットショップで、私は運命的な出会いをすることとなる。
堂々たるツノで正義の味方っぽい貫禄のあるカブトムシに、スマートな体躯と禍々しいまでの巨大なアゴで悪役(でも実はいいやつ)っぽいクワガタ。どちらの虫もたいへん強そうでかっこいい。ぜひ身近に置いて、私の弱い心をねじ伏せる勇気をもらいたいと思った。
そうと決まれば、どれを飼うか選ばなければならない。カブトムシとクワガタ、いったいどちらが強いのだろうか。カブトムシのツノにもぐり込まれれば、クワガタなどいとも簡単に投げ飛ばされてしまうに違いない。しかし、クワガタのアゴに首の関節をとらえられれば、いくらカブトムシといえどもひとたまりもないだろう。どうしよう、選べない…しかし、選ばなければならない。
そして私は決断した。
編集後記
初めは田舎の小さな遊園地だと思っていた。ところがどっこい、実際に行ってみると、ゴールデンウィーク中ということもあり、大勢の家族連れで大賑わい。派手な絶叫マシンなどは少ないものの、家族で一緒に楽しめるアトラクションがいっぱいの、懐かしい遊園地の原風景といった趣を感じることができた。とりわけ盛況のアトラクションは1~2時間ほどの行列までできており、なかなかハードな取材だったが、久しぶりに童心に帰ることができた気がした。あまりに童心に帰りすぎて、最後は個人的にただ買い物してきた話になってしまったことを、この場を借りて深くお詫び申し上げます。
<制作・文責>管次郎
<デザイン>かっくん
<監修>九条、みいはあ、タイプリュータ