金沢ライフマップ_Vol.015

はい、というわけで今回の金沢ライフマップは、意外な魅力がてんこ盛り、石川県庁を特集します。

石川のあらゆる行政機関が集まる地区

 

50m道路、それは金沢駅⇔グランゼーラ⇔金沢港をつなぐ、石川の肺静脈。その中ほど、「鞍月」と呼ばれる地区に、ひときわ目を引く高層ビルがある。石川県庁 ――これこそ、石川の心臓部だ。

「鞍月」およびその隣の「鞍月東」 には、石川県のあらゆる行政機関が密集している。石川県立中央病院、石川県地場産業振興センター、石川県繊維会館、石川県鉄工会館、石川県IT総合人材育成センター、石川県工業試験場、石川県産業創出支援機構、いしかわエコハウス、石川県林業公社、などなど。そして、そのド真ん中にそびえるトリプルタワーこそが、石川県庁舎だ。

左から順に、議会庁舎、行政庁舎、警察本部庁舎

なお、石川県庁といえば「ずっこけ 4コマ革命軍」にて連載中のシリーズ「金沢独立戦線」で、われらがクラハシ大佐やスズミヤ中尉たちが今まさに展開している作戦の攻略目標である。みんなで独立軍を応援しよう!

廃藩置県・「金沢県」誕生から「大石川県」、そして…

石川県庁は、過去に2度の建て替え・移転を経験している。つまり現在の庁舎は3代目。また、治める県域についても、現在の形に落ち着くまでに紆余曲折があった。その歴史を紹介しよう。

1871年~1873年 「金沢県」ではなくなった理由

現在の石川県と富山県の大半という広大な地域を治めていた加賀藩(およびその支藩)は、1871年(明治4年)7月の廃藩置県により、「金沢県」と「富山県」と「大聖寺県」に分けられた。
4ヵ月後の同年 11 月、金沢県と富山県と大聖寺県がいったん廃止され、改めて3県が成立する。現在の石川県南部にあたる「金沢県」、石川県北部にあたる「七尾(ななお)県」、そして、富山県にあたる「新川(にいかわ)県」だ。
さらに3ヵ月後の 1872 年(明治5年)2月、金沢県は県庁を移転する。移転理由としては「金沢市は県域に対して北に寄りすぎ」というのが当時の公式見解だった。移転先は石川郡美川(みかわ)町(現石川県白山市の一部)。県名も、この県庁所在地の郡名にちなんで「石川県」と改称した。
さらに7ヵ月後の同年9月、七尾県のほとんどが石川県に併合され、現在とほぼ同じ県域になる。「北に寄りすぎ」ではなくなったので、4ヵ月後の1873年(明治6年)1月、 県庁が金沢市に戻された。 ところが「石川県」の県名は据え置かれることとなったのである。

1876年~1883年 「大石川県」の誕生、そして分裂

1876年(明治7年)4月、新川県(現・富山県)が廃止になり、石川県に併合される。
廃藩置県直前の加賀藩とほぼ同じ県域となった。
その5ヵ月後の同年9月、敦賀(つるが)県(現・福井県) が廃止、その北部が石川県に併合。現在の富山県全部と福井県の大部分が石川県に含まれることとなり、通称「大石川県」が誕生した。
ところが、やはりバラバラだった地域をひとつにまとめるのは難しく、住民同士がたびたび衝突する。ついに5年後の1881年(明治14年)、旧・敦賀県が独立して「福井県」が誕生。さらに2年後の1883年(明治16年)、今度は旧・新川県が独立して「富山県」が誕生し、現在に至る。

1992年~1924年 格調高いレンガ造りの2代目庁舎

1924年(大正13年)竣工の2代目石川県庁舎は、香林坊の隣の広坂に建てられた。レンガ造りの外装や漆塗りの正面扉など、近代建築の粋を極める。技術面においても、鉄筋コンクリートや水洗式便所など、当時の最新技術が結集されている。玄関の左右に植えられた2本のシイノキがシンボルとして親しまれた。
2代目庁舎の建物は、2010年(平成2年)に「しいのき迎賓館」として生まれ変わっている。正面部分の外装や2本のシイノキはそのまま保存されながらも、背面部分の外装は大きく改装、サッシのない全面ガラス張りとなった。内部は、レストラン、カフェ、会議室、ギャラリーなど、県民のための憩いの空間となった。

1992年~2003年 3代目庁舎の構想、そして開庁

1992年(平成4年)、築70年を目前にした2代目県庁舎の老朽化を受けて、県庁移転に関する基本構想特別委員会が設置される。そして11年後の2003年(平成15年)、ついに3代目庁舎が開庁した。
3代目庁舎が建てられた鞍月は、当初は田園地帯だったが、以降、急激な発展を遂げる。今では、東京ドーム2個分の面積のショッピングモール「アピタタウン金沢ベイ」や、北陸最大級の書店「金沢ビーンズ」などが立ち並ぶ、金沢有数の商業地となった。

意外な魅力がてんこ盛りの県庁舎

ここでは、3代目庁舎にてんこ盛られた意外な魅力の数々をご紹介しよう。とりわけ、生活利便性の高さは並大抵のものではない。

県民の杜

冒頭で筆者が目覚めた森・通称「県民の社」は、庁舎の敷地内にある約3万7000㎡の緑地帯。石川県庁は「森の中の県庁」を目指して緑化に努めており、県民の杜はその取り組みの一環だ。もちろん休日でも気軽に散策することができ、健康づくりや憩いの場として利用できる。

グランゼーラが考える、60年後の県庁の予想図

ちなみに、県民の杜は「森の中の県庁」を実現するために成長の早い木がたくさん植えられているという。将来が楽しみでならない。

1~3階ぶち抜きのエントランスホール

行政庁舎の玄関の回転扉を抜けると、まずは3階まで吹き抜けになった広大なエントランスホールに驚かされる。その中には、マルチビジョンや情報端末を利用して県政の様々な情報にアクセスできる県政情報コーナー、ジャンボ宝くじからロト・ナンバーズまで取り扱っている宝くじ売り場「石川県庁チャンスセンター」などがある。

だだっ広い行政庁舎エントランスホール

情報端末とマルチビジョンを備えた県政情報コーナーは、午前9時から午後5時30分まで利用可能

オータムジャンボで1000万円が出たという石川県庁チャンスセンター

2階・生活に便利な施設が多数

行政庁舎2階には、生活に役立つ様々な施設が揃う。食堂は、カレーライス 390円、ラーメン 320円など、たいへんリーズナブル。隣の売店では、食品や文房具などの基本的な商品のほか、ビジネスシューズを豊富に取揃えている。また、キャッシュサービスも充実しており、郵便局、北國銀行、北陸労働金庫と、3つの金融機関の支店が入居。そのうえ、4台の ATM が設置されている。さらに理髪店まであり、調髪 2,800円、 カット 1,900円とお手頃な料金。あとは銭湯とコインランドリーがあれば、このフロアだけで生活していける勢いだ。

正式名称は「石川県互助会食堂」もちろん誰でも利用可能

売店ではビジネスシューズを豊富に取り揃えているので、靴を履き忘れても安心

「理髪店」という屋号が掲げられた理髪店は、理髪店であるということが一目でわかる。午前9時15分から午後5時まで営業

郵便局(ゆうちょ銀行)、北國銀行、北陸労働金庫、信用金庫、JAバンクと豊富なラインナップ

19階・地上80mの展望ロビー

展望ロビーから見た南西方向の風景。正面に見える公園は鞍月セントラルパーク

行政庁舎の最上階・19階には展望ロビーが設置され、東西南北の全方向から金沢市街を、さらには雄大な白山連峰や、波光きらめく日本海まで見渡すことができる。
ちなみに、石川県で最も高い建物は「ポルテ金沢」で、高さ 130m。その最上階には展望レストランがある。行政庁舎の高さは県内2番目だが、見晴らしの印象はまったく負けていない。駅前の中心市街に建つポルテ金沢は、周辺約 200m以内だけでも、リファーレ金沢(高さ 85m)や ANA クラウンプラザホテル金沢(高さ 75m)など、多数の高層ビルが立ち並ぶ。一方、行政庁舎の周りは、周辺約 3kmを見渡しても、60m以上の高さの建物がまったくないのだ。したがって、周囲の建物との相対的な見晴らしの良さでいえば、むしろポルテ金沢に圧勝していると考えられる。
また、行政庁舎展望ロビーは無料で利用できるところもポイントが高い。

展望を楽しむだけが展望ロビーではない。県政情報を提供するマルチビジョンや、文化団体などの発表に利用できる展示スペースなどが備えられており、県民同士の交流に利用することができる。

文化サークルやNPOなどの活動の場として利用できる交流スペース

展望ロビーの一角で営業している喫茶「展望」では、軽食を食べながら眺望を楽しむことができる。時には、我々グランゼーラが打ち合わせに利用することも。

喫茶「展望」 やはりわかりやすい名前だ。営業時間は午前10時から午後8時まで。もちろん土日祝日も営業している

突入!団体見学

石川県庁について独自の情報網を駆使し て調査していた筆者。そんなとき、ウェブサイト上に気になる記述を発見した。「県庁舎団体見学」――対象は5人以上の団体とある。われわれライフマップ調査隊は、筆者、タイプリュータ、かっくん、みいはあ、九条の5名。気がつくと筆者は、震える手で県庁総合案内の電話番号をダイヤルしていた。
というわけで6月5日(火)午前 10時 30分、やってきました県庁舎団体見学。普通は小学校の遠足や老人会の催しなどで利用されるサービスであり、こんなに少人数で申し込んでくることは珍しいという。ともあれ、さっそく案内のお姉さんに連れられて出発だ!

「開始時刻まで並んでお待ちください」という指示を完璧に遂行する革命戦士たち

豪華声優そろいぶみの県庁舎紹介ビデオ

スクリーンを食い入るように見つめる革命戦士たち

まずは1階の会議室で県庁舎について説明するビデオを視聴する。人に優しいジェントルハートを持った「ジェント」 (CV:田中真弓)、環境に優しいエコロジーハートを持った「エコ」(CV:皆口裕子)、災害に強いセキュリティハートを持った「セキュリ」(CV:山本圭子)という3人のキャラクターたちが大活躍。

厳粛!議場傍聴席

続いて一行は、連絡通路を通って議会庁舎へ移動した。

グランゼーラを支持母体とする地域政党「新党 ずっこけ」(数年後に結党予定)も、この通路からおびただしい数の議員を送り込むに違いない。

行政庁舎と議会庁舎を結ぶ連絡通路の内部

議会庁舎では、議場を案内してもらった。議場内の壁材にはケヤキや戸室石、装飾のパネルには九谷焼や金沢漆器などなど、石川県の名産品・伝統工芸品がふんだんに取り入れられている。
議場は2階吹き抜けになっており、下階は議員席、上階は傍聴席となっている。議員席と傍聴席の高低差は 170cmと非常に小さいため、議会の様子を間近で見ることができる。傍聴席の定員は 200人で、議会が開催するときなら議会庁舎の総合案内で受付を済ませれば誰でも傍聴することが可能だ。

思い思いに議場を見学する革命戦士たち。案内のお姉さんも若干困り気味

 

「いったい何の会社なのかまったくわからない」など大評判

なお、2012年6月15日現在、ごらんのウェブサイ ト「Granzella Homepage」のメニューページで大きく使われている画像は、この議場で撮影したも のである。

ハイテク! 災害対策本部室

議会庁舎と行政庁舎を結ぶ連絡通路の外部。新党ずっこけの議員たちが大挙して渡っていく光景が目に浮かぶようだ

再び連絡通路を通って行政庁舎に戻る一行。
今度は行政庁舎6階の災害対策本部室へ。災害情報等がリアルタイムに映し出される大型マルチスクリーンを備えた防災拠点だ。55倍ズームを備えたカメラで、8km離れた内灘大橋のケーブルー本一本までクッキリ映し出す。

上座は災害対策本部長=知事の席。いつの日か筆者もここに座ることになるのだろうか(谷本知事ごめんなさい)

展望ロビーからNEWSビルを見下ろす

7階開発室で身を転がすようにして働いている(と思われる)仲間たちを、のんびり見下ろす

いよいよ団体見学もクライマックス、最上階・19階の展望ロビーへ。ふと南側の窓を見やると、我らがグランゼーラの入居するNEWSビルの姿が。見晴らしがいいと思っていたNEWSビルも、県庁舎から見ればケシ粒同然であるということに気付く。なにかひとつ大人になった気がした。

喫茶「展望」でみんな揃ってランチ

団体見学終了後は、喫茶「展望」でみんな仲良くランチ。一人で食べてもおいしいが、みんなで食べればもっとおいしい。

注文が来るのを今か今かと待ちわびる、腹ペコ革命戦士たち

ロースカツカレー(スープ付き)は、ご当地グルメ「金沢カレー」風。ソースのかかったカツにはキャベツが添えられている

ほうじ茶アイスと金箔コーヒー(生チョコ付き)。金箔と言えば金沢の特産品で、日本の総生産量の約99%を金沢市が占める。そんな金箔のあしらわれたホイップクリームが添えられた金箔コーヒーで、贅沢なひとときを楽しもう

編集後記

さあ、取材もすべて完了、あとは会社に帰って原稿をやっつけるだけだ。晴れ晴れとした気分で庁舎から出ようとしたそのとき、私はあるものを目にして足を止めた。宝くじ売り場「石川県庁チャンスセンター」。思い起こすのは金沢ライフマップ Vol.012「金沢競馬場」……1万円を投じた馬券が紙くずになってしまった苦い記憶だ。「ずっこけグランゼーラ杯」を開催していたのは石川県。この宝くじ売り場を運営しているのも石川県。…借りは必ず返さなければならない。それが私のイデオロギーだ。

競馬の負けを取り戻せ!
というわけで買ってみましたロト6。01~43の43個の数字の中から6個を選び、すべて当せん番号と一致すれば約1億円が手に入る。5口 1000円を購入し、合計30個の番号を選ぶ。私の計算に狂いがなければ、これで競馬の負けを1万倍にして取り返すことができるはずだ。

抽せん結果発表、そして…
2日後の6月7日(木)、きたる第665回抽せん結果発表日。期待に胸を膨らます筆者の目に飛び込んできた6つの数字。筆者が選んだ30個の数字と、どれひとつとして一致していなかった。

全外し。逆にすごくない?


失意に暮れながら会社からの帰路につく筆者。楽して億万長者になろうだなんて、しょせんは叶わぬ夢だったのだろうか…そんなことをぼんやりと考えながらNEWSビルの駐車場へ向かおうとしたそのとき、筆者の眼前に広がった光景――それは、輝く夕陽を背にして堂々とそびえる石川県庁の姿だった。荘厳な景色にみとれる筆者の心の中に、石川県庁が優しく語りかけてきたような気がした。”オレよりでっかくなれよ、少年!”

――もう少しがんばってみよう。新たな決意を胸に、力強く歩みを進める筆者であった。

<制作・文責>管次郎

<デザイン>かっくん

<監修>九条、みいはあ、タイプリュータ